第二回自由英作文五番勝負

大阪大学医学部医学科学士編入試験英語(2019年度)Ⅲ

当初、そして無職となってからも、幾度か編入試験を受験することも考えていた。そもそも一度は大学を卒業した身であり、なんだかんだ言っても「学士」の学位は持っている身である。無職だけど。若者の席を奪わないためにも編入試験を受験して医学部を目指すのはまあ理にかなった話だなと考え、そっちから行くかと思っていた。何はともあれ一度過去問を見てみるかと思い、見出しにある大学の過去問がWeb上で頒布されていたので中身を確認し、一つ瞬時に悟ったことがある。

書:鯉王

英語はまあ戦えるだろうし、生命科学は仕込めば辛うじて行けるだろうと思った。そもそも生命科学系の論文を読みたいがために英語を学んだ身であるし、生命科学系の分野は面白いので覚えられるだろうと踏んだのである。それに、生命科学系への興味もなしに無職をおっ始めるほど私も暇ではない。つまりその分野が好きだから今無職をしているわけである。今後どうなるかはわからないが。

しかし、である。物理と化学を見てこれは解けるようになる代物ではない、縦しんば解けるようになったとしても並み居る名門サラブレッド四歳馬をかき分けることは多分出来ねえだろうなと思った。こっちは無職で文系だ、ちょっと無理ゲーである。じゃあまあ大学入試レベルならできるのかといわれるとそこは謎ではあるが。頒布された問題に関しては、「大阪大学医学部医学科学士編入試験 過去問」とかで検索してほしい。リンクを貼ってもよいのだが、有志の方々のご厚意で製作されているWebサイトであると思われるため、なるだけ迷惑をかけたくないのである。無職と編入試験合格者、同じ大学に鯉王が入学するのでなければ一次独立にはならないだろうというのもある。

実際に解いてみた。

というわけでせめて問題が頒布されているその恩恵に与かって私の経験値を増やすことにした。目指せポ〇モンマスター。指定は150語「以内」。前回の長崎大学のサンプル問題より50語少ない。とはいえ普段の演習から比べると倍近くある。かかった時間は43分4秒。ちょっと時間がかかりすぎな気がしないではないが、多分4分の1くらいの時間は語数減らしに奔走していた。あと消しカスめっちゃ出る。指定語数が多すぎて到達するのに時間と論理が崩壊するか、指定語数の条件が厳しいために削り倒さなければならないか。兎角世の中は儘ならねえな。

解答の方向性や雑感

今回の題材は「現代の医師にとって重要な資質3つとその理由」。人によって何を重要だと思うかは異なるだろう。人に優しく自分に厳しくしていても正しい知識がなきゃダメだと思う人もいれば、知識に基づいて正論を言うだけじゃ患者に寄り添ってないと考える人もいるだろう。要は資質と理由がかみ合っており、全体的に論理が一貫していれば大幅な失点にはならないのではないかと思い、私は「忍耐、勤勉さ、思いやり」の3つで行くことにした。この3つにしたのは冒頭で挙げる際に一語で表しやすいからである。多分「そんな精神論的なものを振り回すんじゃねえ」と言われるだろうが、重要なのは自分がそう思っているかどうかではなく、ちゃんとした文章が書けるかどうかである(ただ、実際の編入試験では一次試験と面接との間に日が空いているので何となく面接とかで突っ込まれそうな気はするが、その時はその時で上手く言い逃れるしかない)。自由英作文の定石かどうかは分からないが、「全体から細部へ」「抽象から具体へ」「結論から根拠へ」みたいな「マクロからミクロへ」という構成にした方が体感的にまとまりが良いからである。「私は現代のお医者さんには忍耐と勤勉さ、そして思いやりが素質として必要だと思います」と一旦冒頭で述べ、そこからそれぞれの理由を書き、最後に締めるという大まか流れで書くことにした。【方針立案、5~7分くらい】

忍耐を挙げる理由としては、現代は医師の業務が多岐にわたり、多くの病院が統廃合され、連日爺さん婆さんが大挙して病院に押し寄せるため、イライラしたり、イライラしているような態度を見せたりすれば業務に支障が出るからである。文系社会人時代の経験より、名ばかり人生の大先輩と相対する際はマジで忍耐力が試される。恐らく役所の窓口とは比にならないくらい病院では忍耐力が試されるんだろうなと思ったが故にこの資質を挙げた(実際のところはどうか知らない)。【1つ目の資質及びその理由、5~7分くらい】

勤勉さを挙げる理由としては、私の中には特になかったのだが(ないのかよ)、1語で表しやすかったので入れた。後付けっぽいが理由としては勤勉でなかった場合(要はサボっている場合)、業務は終わらせられず、同僚からの信頼は失墜し、協働者(看護師や薬剤師など)にも迷惑をかけるからである。それでは円滑にやっていけないよね、という話である。【2つ目の資質及びその理由、5〜7分くらい】

思いやりを挙げる理由としては、純粋に人間関係を円滑に進めるためというのが理由である。多くの人間と関わりあって働く以上、ある程度他者に対して配慮できないようだと様々な軋轢を生む。そしてその軋轢が職業人生を左右することも無いとは言い切れない。2つ目の資質と似たところがあるが、そこはそれ上手いこと区別して理由を挙げる必要がある。【3つ目の資質及びその理由、5~7分くらい】

これら3つの資質は医師に限らず人と働く以上ある程度重要になってくるのだが、それらが欠落していた場合、一人でやっていけるような仕事でもなければどこかで軋轢が生じたり問題となってくる部分が出てくるよね、と3つの資質から帰納的に導き出せるようなまとめを書いて、それ故に私はこれら3つの資質が重要だと考えるのですよと締める。【総括、3分~5分くらい】

結局私は医師というよりも人と働くうえで重要であることを述べただけである。他の大阪大学の自由英作文の問題にも通ずるものがあるのだが、「自分が何考えて生きてきたか」を問われる問題が多い。恐らくこの問題にはそれが如実に表れているだろうと考えられる。知識を挙げなかった理由としては「それは重要ではなく前提だから」という考えがあってのことである(と、もし面接で聞かれたら言い逃れると思う)。鯉王は高校時代弦楽部に所属して下手の横好きよりも下手なレベルで楽器を弾いていたのだが(なんせレギュラーもクソもないほど弱小部であった)、「表現云々以前に演奏がマトモにできる技量がなければそういうのに到達できんのでは?」と思っていた。悪魔のトリルの魔性を表現するには、まずトリルが出来なければ話にならねえよ、という話である。勿論表現を考えるのは大事なことであるが、それ以前の問題もあるよな、ということである。

技量や知識はあって当然のレベルで求められているのではないか?その上で差別化を図るなら結局は人と働きやすい性格だったりが必要なんじゃないか?(もっと言えばクレーマー患者を丸く収めて法的紛争に走らせず、プロ患者をやんわり追い返し、協働者と協力できることが必要なんじゃないか?)と考えた。それが薄っぺらい考えなのかどうかは入学してみないことにはわからない。蓋を開けてからのお楽しみである。

模範解答を読んで

模範解答なんざない。それがこの大学の方針である。ロックだな。ただ、出題の意図はある。恐らくは論理的整合性とか意見の底の深さ(要は薄っぺらい文章書いてんじゃねえよというやつ)が見られるのだろう。

勝負判定

鯉王としては特に論理の破綻なく150語書ききったが、第2の資質と第3の資質の理由が微妙にかぶっている気もしなくはない。あと他の大問との兼ね合いを考えるとちょっと時間がかかりすぎのような気もする。良くて引き分け、或いは判定負けだろうか(実際の試験では時間内に全問解き切れば良いわけであるし)。前回ほど圧倒的に「負けたぜ」感はないが、やはり100語を超えるともうちょっとちゃんと書く必要がある。

第3回は…

本当は外大時代の大阪大学外国語学部後期の問題を取り上げたかったのだが(大学受験において最高難度と思われる英語の問題が出題されていたため)、問題が見つからないので引き続き大阪大学医学部医学科学士編入試験の問題を解いていく。他に何か良さそうなものがあったらそれを採用する。

鯉王

文系社会人を経ての無職。 本業は受験生、副業は無職文系。

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