無職306日目
朝から取り敢えず家の裏手の山に登る。今日はあまり天気が良くない。
山の中にちょっとした休憩所があるため、そこで眺望を楽しんでいたところ、朝から元気なお年寄りが集まってきた。何の気なしに眺めていると年寄り談義が始まり、休憩所の屋根の縁的な所で懸垂しだしたり休憩所のベンチの手すりで腕立てしだしたりと年寄り同士のマウントの取り合い的な何かが始まって、俄かに立ち去り難い空気になってしまった。
片方の年寄りが立ち去り、残った腕立て年寄りの唐突なライフストーリー話が始まる。前職で割と面倒な年寄りを捌いてきたが、それに比べればはるかにマシである。ちゃんと話は通じるし、突然キレだすこともない。ただ気になるのが昨年秋に手術をしたばかりだということである。それでそんなに運動して大丈夫なのかおじいちゃん。
30分ほど話を聞き、その人の家の前で別れた。自分の出会ってきた年寄りの中では穏やかな部類に入るので問題はないが、これ相手が特殊詐欺犯だったらおじいちゃん危ないのでは。特にボケの傾向も見られなかったが、そんなに初対面の人に話しまくって大丈夫か。
自分は医師になろうと思っているものの研究の道に進みたいと考えているため、お年寄りと直で接することは恐らくあまりないはずだ。ただ、臨床、研究、どちらの道に進んでどんな医師になるにせよ願わくば出会う年寄りが穏やか属性でありますようにと祈る他ない。
家に帰り、不動産屋からのメールに返信する。善は急げということで明日物件の内覧に行く事にする。
昼食後筋トレを行う。今日も腹筋を重点的に鍛えるメニューである。トレーニング中は腹筋だけでなく全身がプルプルするが、なんとなく効いている気はする。
理系科目の勉強を進め、部屋の書籍の選定をする。何の気なしに買ってみたものの、読むこともなく仕舞い込まれた本が大量に出てきた。一読もせずに売ってしまうには惜しい内容が多いので、一読して早急に売却するか保管するかを決める。また、「今読まないけど取り敢えず置いておく本」の仕分けを進める。
昼前から雨が割と激し目に降っていたが、明日出かけるならばやるべきことが多々ある。夕方に、まず格安切符を駅の近くで買い、次にK塾の講習代返金手続きの書類を投函した。
風呂掃除を終え、今後どうするかと考える。
やはり基本的なことからわかっていない科目の増強は急務である。英語は親に毎日添削を依頼できるが、親は数学や化学は専門外である。
生物はまあなんとか自分でするか、要所要所で大手予備校の力を借りれば良いかと思っている。ずっと借りるには金がかかりすぎるからである。
となると、数学や化学を教えてくれる方、それも「死ぬほど苦手だったが何とかして戦えるレベルまで引き上げて医学部医学科に合格した実績のある人」に尋ねるしかない。欲を言えばペースメーカーのようになってくれる人を探す必要がある。
しかしそんな人がいるのか?
そればかりはこの時代、インターネッツを駆使し、自分の人脈を使い、あとは運や縁をフル活用するしかない。