無職文系最後の14日

引っ越し当日である。

シュレッダーせずに放置していた紙の束が大変なことになっていたので、日付が変わってすぐに全部シュレッダーした。

その後荷物を詰めようとしたが連日の労働やら何やらによる疲労で疲れていたのか、午前2時ごろに眠ってしまった。

次に目が覚めたのは午前7時。空腹とかなんとかでヘロヘロになりながらも午前9時ごろまでゴロゴロしていた。気の滅入るような曇天、そして冷たい雨が降っていた。どう見ても引っ越し日和ではない。

そろそろ詰め始めるか、と荷物を詰め始めてふと悟る。

筆:鯉王

本と文具類は粗方詰めていたが、食器は洗ってないし服は散乱しているし捨て忘れたペットボトルは溢れかえっているしで最早カオスである。午前10時。引っ越し先に出発するのは正午過ぎだ。まだ2時間ある、頑張れ鯉王ここが無職の踏ん張りどころだと自分に言い聞かせていたところ、携帯電話が鳴り響く。

鯉王「もしもし」

引っ越し業者「おはようございまーす!なんか午前中の作業がスムーズに終わったのでちょっと早めにお伺いしてもよろしいでしょーか?大体11時ごろになるかと思われます!」

普段なら二つ返事で快諾するッッッ!だが今回は無理だァァァァ!!

鯉王「いえ、諸事情ありまして…頑張っても12時半くらいが限度でしょうか…」

引っ越し業者「わかりました!それではそのくらいにお伺いします!」

さて絶望が始まった。工具類なんかも全部段ボールに放り込む。というかこれ段ボール足りんくね?インターホン。どうやら親が到着したようだった。

今回の引っ越し先は公共交通機関で向かうには時間がかかりすぎる。ありとあらゆる手段を動員してカネを度外視したとしても頑張っても3時間くらいかかる。いや3時間で済めばまだマシな方か。そのくせ引っ越しのトラックだと高速道路が使えるらしいのですぐに辿り着けるのである。

そのため、鯉王が引っ越し業者を見送った後出発して先に引っ越し先に到着するという離れ業はまずもって難しい。どこでもドアを持ってるわけでもない。

そのため、「引っ越し元で引っ越し業者を送り出す」役目を親に依頼することにした。私は私で「引っ越し先で引っ越し業者を迎え、荷物の配置等の指示を出す」役目である。

圧迫骨折が完治していない親を引っ越しに駆り出すのは申し訳なかったが、荷物を全て詰め終えていたら大丈夫だろうと楽観視していた。

部屋に入った親がムンクの叫びみたいになる。

親「なんも片付いてないやんけ!!」

親と二人して必死になって荷物を詰める。途中自転車が何回か倒れ、私は私で手を切ったのか血を流していた。

流石に12時半は無理だ、引っ越し業者に連絡しようと電話するも繋がらない。しばらく荷物を詰めまくっていると電話があった。やはり当初の予定通り午後2時でお願いしますと告げたところ、快諾してくれたので胸を撫で下ろす。

引っ越し業者が引っ越し先にたどり着く時間を鑑みるとそろそろ出発せねばならない。

鯉王「衣類、食器類は詰めておいてほしい。机の上に引っ越し代金は用意しているし、机付近はもうそのままで大丈夫。段ボールや古着、古紙類、捨てる予定の雑誌や本は来週管理会社に鍵を引き渡す日が資源回収の日なので問題はない。あと他相談事があれば道中連絡してほしい」

そう言い残して持てる荷物を全て持ち、スーツケースにぶっ込めるものはぶっ込んで家を出た。時刻は12時をすぎた頃であった。

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文系社会人を経ての無職。からの学生。 本業は医学生、副業は無職文系。

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