アラサーに夜9時過ぎのラーメンはキツいって!!
学生生活796日目
鯉王には現在ポリクリ中の先輩がいる。
というかこの大学に入って以降知り合いが爆速で増えたのでポリクリ中以外の先輩もいるし、ポリクリを終えた先輩もいる。
今日は居候している研究室にその先輩が現れたことからイベントが始まった。
H先輩1 が研究室に現れたとき、鯉王は「肛門にブレスケアを入れて放置していたら新時代の幕開けを見た」スレを読んでいた。金曜は薬理学の試験やのにな。
H:こんちは
鯉王:こんばんは!
H:はぁ〜〜もうポリクリ疲れた〜〜
鯉王:(Hさんから話聞いて欲しそうな雰囲気が出ている)お疲れ様です!
H:鯉王、もう晩メシ食った?
鯉王:(既におにぎり2個とわらび餅食ったけどあれはおやつということにしよう)いえ、まだです。
H:じゃ、ラーメン行く?
鯉王:はい!
自分でも「なんで『はい!』って言ったんかな」とは思いつつ、H 先輩とブレスケアと尻の穴の話をしながらチャリを駆った。
途中、大学方面に向かってチャリを漕ぐ若者とすれ違った。電話しながらチャリを漕いでいたその青年は、電話口で「いやブレスケアなんすよ!」みたいなことを言っていた。
2人して爆笑した。そんな偶然ある??
チャリで10分もしないうちに、ラーメン屋に辿り着く。時刻は夜9時を少し過ぎた頃だった。国立大の医学部を擁するこの地に降り立って、初めてこの店に入るかもしれない。今までスルーしていたのだ。
そして、大学近辺からまあまあ近場にあるラーメン屋は、ここぐらいしかない。
店の外観からある程度予想していたが、予想に違わぬ小汚さを感じた。まあそんなもんだろ。
この店なんで床全面が「大抵の自動ドアの前に敷いてあるマット」に覆われてるんだろ?と思いながら、お座敷席に上がった。ラーメン屋の座敷とは?
とりあえず鯉王は「味玉ラーメン」なるものを注文した。ついでに半チャーと餃子もつける。H先輩はラーメン大盛りで、更に鯉王が頼んだサイドメニューと同じものを頼んでいた。
鯉王ももう30代である。流石にこの時間帯にラーメン大盛りは食えない。
料理を待つ間に、H先輩から「人間関係」についての相談を受けた。鯉王ならどう対処するか聞きたいとのことだったが、「そんなん元無職文系限界医大生に聞いてもええんでっか〜?」でしかなかった。
研究室の人間だと漏えいリスクがあるし、同学年の人間に相談するにはこちらも漏えいされると大変なのでハードルが高い。それで鯉王に白羽の矢が立ったのかもしれないかもしれない。
医学部マジでムラ社会やな。
鯉王は「相談されてもないのにアドバイスをする人間」がマジのガチで嫌いなので、自分もそういう人間にならないように気をつけている。今回は「相談&話聞いてほしい」なので、静かに話を聞くことにした。
どうやらポリクリ班の人間関係があまりよろしくないらしい。
人間関係をH先輩の話を聞きながら整理していると、半チャーが真っ先に届いたため、食す。
大雑把にまとめると、H先輩の班にはメンタルブレイクを起こしている人間がいるらしい。
なんかどっかで聞いたことのある話だなと思いつつ次に届いたラーメンに手を出す。町中華感のある醤油ベースだ。めちゃくちゃ美味いというわけではないが、不味いわけでもない。中庸の味だ。
そして、その人間(便宜上①と呼ぶ)が、ポリクリを休みまくり、まあまあ問題を起こしているとのことだった。
H先輩が大学外の病院での実習期間中に、H先輩の班と他の班との合同ポリクリがあったらしく、そこでも①は問題を起こし、他の班からポリクリ先の診療科の先生宛に、①について苦情が入ったらしいという話をH先輩は学外病院での実習から帰ってきてから知ったとの話だった。
そんな①の素行に対して、同じポリクリ班の人間(便宜上②と呼ぶ)がキレて、まあまあ班内の空気が悪いとの話だった。
①はメンタルブレイクやら何やらでポリクリを休むし、それに対して②はキレるし、それを知って①は余計にメンタルブレイクするし…(以下無限ループ)的な感じらしい。
H先輩の班には鯉王もよく知る学士編入の先輩(便宜上③と呼ぶ)がおり、その方はどう思ってるのだろうかと尋ねた。餃子も美味いな。
H先輩も③先輩に対しては好印象だが、①と②の仲の悪さに対してはどこまで事情を察しているかはわからないとのことだった。
H先輩の意見と立場はこうである。
確かに①はポリクリを休み過ぎているし、欠席連絡もLINEを通して班員へ「先生に休むって伝えといて〜」的なものらしく、班員からのヘイトを少なからず集めているが、②もそんなに目くじらを立てる必要はないのではないか?
一理ある。H先輩の話だと、もう1ヶ月近く②は①をフル無視しているらしいし、それは長すぎるという気もしないではない。班の空気が悪くなるのを避けたいという気持ちもわかる。
ただ、①についても鯉王はあまりいい噂を聞かない。
元々鯉王のいた学年の若い知り合い曰く、①と全く面識がないにも拘らず急に「喪服貸して!」などと言われたとのことで、①は卒業後は医師にならないかもと誰彼憚らず言っているとのことだ。勿論自分が直接関わって見聞きしたわけではないので話半分で聞いた方がいいとは思うが、その若者を私は信頼しているし、そうそう他人の悪口を言うわけではない人間だと知っている。
H先輩がそれなりに①の肩を持つのは何故なんだろうと思わなくもないが、単に班の空気を壊したくないだけだろう。
②がキレる理由もまあわからなくもない。というか鯉王としてはこっちの方が理解できる。
確かに①個人が休んだりなんだりしているだけなので、ポリクリ中は①個人の評価だけが左右されるのかもしれない(H先輩談)。ただ、ポリクリ回ってる班が一緒である以上、「めっちゃ休む割に、欠席連絡は人任せの人間のいる班」という医師側からのイメージは払拭できないだろう。
それに、もし②が大学の所在地の都道府県に残って医師となるなら、今のうちから悪いイメージは持たれないに越したことはないはずだ。それも踏まえて②がキレているのかもしれない。
言うて鯉王もポリクリやったことねえので、その辺の医師側からの判断がどうなってるのか、どういった形でポリクリの評価が決まるのか、それが何に影響を及ぼすのか、はわからない。
とりあえずH先輩には、「③さんや他の班員に現状を共有して、皆で対処する。同時にポリクリの取りまとめ教員等がいるようならそこにも相談する」
のが現状できるベターなのではないかと伝えた(ベストとは言えないし、何がベストかはH先輩にしか分からんことなので、外野としてはベターな方策くらいしか伝えられない)。
その頃には完食していたので、会計を済ませて店を出た。勿論別会計である。
帰路に向けてチャリを漕ぎながら、ふと考えた。【次ページへ】
- 現役ストレート医学生。学業成績は良いが、生活力は微妙らしい。時々?実験で不手際を起こしている。 [↩]