留年130日目
235日後に進路決定する限界医大生
そんなこんなで今日は昼から塾の試験監督・採点業務に従事する。
朝から茹だるような暑さの中ポイ活を進め、筋トレをする。腹筋激痛すぎる。
すると電話がかかってきて何事かと思えば、単発バイトの会社からだった。まあまあ前に応募した単発バイトのオンライン面接を今日に設定していたのをここ最近の多忙具合からすっかり忘れていた。
取り敢えず「電波の不具合で…」と説明しつつエントリーシートを完成させながら面接を受ける。おりしも雷が鳴っていたので、電波状況はガチで悪かった。そう、嘘ではない。
単発バイトの会社にエントリーシートが届いたようで、面接中に驚かれた。
会社の面接の人「超人的な経歴ですね…」
そういうのは言われ慣れているし、それでも留年するときはするのが世の常である。
それに多分そんな超人的な経歴ではないぞ。まあ4年くらい山籠ったりとかはしていたけどな!ガハハ!
とかって考えながら不安定な電波の中面接を受けていた。
資格欄は多すぎるので取り敢えず運転免許だけ書いておいた。まあ単発のイベントスタッフだし運転免許を書いておけば大丈夫だろう。
面接は電波以外は難なく進み、来週末くらいに勤務が決定した。
そして暑さのためにシャワーを浴びたのち飯を食っていると、昨日研修を受けた会社から電話があった。
こちらも初出勤日と勤務地が決まったようだ。
今週末に若干遠めの地で家電を売りまくることになるらしい。
まあそれはそれでおいておくとして、今年も盆は忙しそうである。
天気は微妙だったが最寄り駅までチャリを駆り、塾に向かう。
試験が始まる前に大雑把過ぎる説明を受け、私は5つある教室のうちの一つに割り当てられた。
塾の模試の試験監督とはいえ、こぢんまりとした部屋である。20人前後の監督なので気は楽だ。
ただ、塾には塾のスタイルみたいなのがあるだろうし、それに若干不慣れだったので心配はあった。
5つの教室は、恐らくはレベル別に分けられているようだった。私は4番目の教室担当だったので試験時間とかを書きに少し早めに教室に向かってみることにした。
教室の雰囲気は、今から模試を受ける連中の放つ空気ではなかった。
高校受験を控える小中学生向けの塾であり、今日の模試は中3の生徒たちが受けるものである。
だのに「いやもっと危機感とか持った方がええんでは!?」と留年中の鯉王に心配されるレベルであった。所詮は他人の子供かもしれないが、私にとっては金ヅルである。
兎にも角にも模試の準備である。ホワイトボードに試験時間などを書き、5分前に説明をし、問題冊子を配り、始めの合図を出すなどした。
出欠の確認を取りながら机間巡視をする。机と机の幅が狭すぎて若干つっかえそうになった。
痩せねばなるまい。
見回っていると、チャラめの雰囲気を持つ中学生が問題を解いていた。なんと左耳にはピアスまでつけている。
もう令和の時代には絶滅したかと思われるヤンキー中学生じゃないか!!と若干盛り上がっていたが、問題を解いている様子を見る限りではマジでただのヤンキー中学生だった。
「いや今時ヤンキー属性だけでは売れねえぞ」
「ヤンキー×頭の良さとか見せていかねえとコンテンツ力がな…」
などと脳内で考えていた。
鯉王が通っていたのは市内でワースト3に入るくらい治安が悪く、かつアホな中学校だった。学年の三分の一くらいが『北斗の拳』に出てきそうなモブみたいな感じというヤバい中学校だった。
そこならワンチャン「ヤンキー中学生」でもウケたかもしれないが、今日びヤンキーというだけではやっていけないだろ。知らんけど。
見回っていて気がついたが、この中学生達は勉強云々は兎も角、試験の気構え的なやつがなんとなく欠如しているような気がした。
とはいえ鯉王も中3の夏に模試とか受けた覚えがねえし(そもそも塾とかも通ってなかった)、実際模試受け始めた頃は家が無くなるとかなんとかで覚悟ガンギマリ状態だったのでその辺よく覚えていない。
閑話休題。
試験時間が終わり、答案を回収して採点部屋に持っていくと、そこで試験監督から採点者にクラスチェンジしてくれという依頼があった。
おっけおっけこう見えても鯉王昔某中学受験塾のH学園で採点とかしてたしなどと考えながら指示を仰ごうとしたが、
手際が悪すぎるのである。
まず特に人によって役割が分担されておらず、その場しのぎ感がMAXだった。
次に座席が受験番号順ではない上に各部屋によって集め方もバラバラであるので当然並びもバラバラであった。
そして採点基準も大まかには決められていたものの、詳細な要素ごとの加減点はあまり書かれておらず、質問対応に作成者が追われる始末。
H学園は凄かったなと思い返しながら手持ち無沙汰に待っていると、この塾で自分が付いている講師(この塾で働き始めたばかりなので、担当科目の講師の方がついてくれていたのである)に呼ばれた。
「鯉王さん、鯉王さんと交代で試験監督の任についた子がめちゃくちゃ不安なので試験開始まで元の教室にいてくれる?」
この「不安」は講師の方が不安なのか、交代で入った人が不安がっているのかどっちなんだろうか。
みたいなことを考えながら教室に向かうと、なるほど確かにこれは不安だわという感じの人がいた。仕事できそう感を微塵も感じられない。
一応試験開始までそこに居たが、試験開始後は採点部屋に戻って採点に勤しむことになった。
採点自体はまあまあスムーズに進んだが、人によって採点の仕方が割とバラバラであった。私は例の如くH学園で働いていた時に使ったメソッドを応用していた。
次第にスケジュールに余裕が出てきたのか、誰ともなくくっちゃべり始めた。そういうとこプロ意識ねぇぞ!と思ったが口には出さない。
次第に試験監督をしていた人々も戻ってきた。どうやら鯉王以外の学生アルバイトは皆試験監督だったようだ。
じゃあなんで鯉王は同じ時給でより疲労の多い採点の方に早くから回されていたんだろうかなどは考えないことにする。
学生たちが話す様子を聞くとはなしに聞いていると、殆どの学生アルバイトが近隣の私学から来ているようだった。
先ほどの仕事できなさそう感がダイマックスな人も私学かと思いきや、
同じ学校の同じ学部の同じ学年の人であった。
鯉王は留年中であり、後期から復学して合流する予定である。
だからまあ知られていないのだろうと考えた。
こう見えて一番大学に顔を出している留年生という自負はある1 。
でも向こうは気付いていなさそうだったのでこのまま気付かれないようにいい感じでやりたいと思う。
粗方の作業が20時前には終わり、20時過ぎに解散となった。当初21時解散と聞いていたので、1時間分時給が減り若干萎えたがまあそうも言っていられない。
最寄り駅まで帰り、セブイレに寄ってからチャリで家を目指す。明日はデカいアルバイトがなくなったので英気を養えるだろう。
- 光熱費を浮かせるため。 [↩]